自分自身で積極的に意識改革をしていかないと障害者雇用は進みません。
障害者の転職は果たして難しいのでしょうか?
障害を抱えたまま学生生活を過ごした人の多くは、学校の卒業後、一般企業で働くというよりも、特定のNPO法人などの支援施設で作業する方をイメージしていることがあります。
親や教師が働くことへの選択肢を狭めてしまっている側面があるのではないでしょうか。
障害者が一般企業で働くには、どのような力が必要なのか、どのような人材が求められているのか、子どもの成長とともに福祉や教育には接してきた親でも、一般企業で働くということについてはわかりづらいと言います。
■障害の種類によって接し方が様々
私は、「精神的な病」いわゆるうつ病を患ってしまい、元々いた会社を辞め、一時療養期間を設け、新たに去年転職をして精神障害者として一般企業で就労しています。
例えば、私の働いている会社の部署には、私のほかにも身体障害者の方が2人転職していて、さらに精神障害者の方が1人転職して働いています。母体の企業が結構な大手なので、一つの部署にこれだけの障害者を雇っているのは多い方なのではないかと思います。
かつては、「療育手帳」を持つ、いわゆる知的障害者の方も1人働いていました。
しかし、すぐに辞めてしまいました。詳しい理由は聞いてませんが、一緒に仕事をしていた時に、その方のもどかしいジレンマを感じていました。
例えば、職場で上司に何か指示を受けて、「わかりました」と答えます。
しかし、その内容を十分理解しないで何げなく「わかりました」と言っていたり、聞き返すことができなかったりしていて、彼の近くで仕事をしていた私は彼にはそういう悩みが多くあったのではないかな、と感じていました。
もちろん上司がすぐに察してあげれば良いのですが、そもそもYESと返事してしまっています。
しかしそれは、内容を理解したのではなくて、「この作業をやるのだな」という理解だったと思います。
同じYESでも、その内容はその人によって大きく異なります。
また、「せっかく教えてくれたのに相手に申し訳ない」とも感じていたのだと思います。
それはうつ病の私には良く分かることでした。私自身、そういう事がありましたから。
私は障害者専用の転職サイトから入社した組のため、コーディネーターさんにその都度相談し、そのコーディネーターさんから会社の担当者さんに説明をしてくれていたため、なんとかやり過ごしてこれた気がしています。
仕事中に直接会社の人に相談するなんて、怖くてとても出来ません。
そんな状態じゃないから障害者として転職してきたのですから。
このような個人個人違う特性を理解されないで就職し、現場に放り込まれると、トラブルになりやすいと思います。
その結果、「何回言っても失敗する」「もう障害者は雇いたくない」。
雇用する側から、こんな厳しい言葉がつい出てしまい、人間関係が崩れていきます。
障害者自身も、たった1回怒られたり嫌な顔をされただけで、「もう行きたくない」となり、離職につながっていくことがあると思います。
そういう意味でも、私はコーディネーターさんには、今でも本当にお世話になっています。
良きビジネスパートナーのように感じています。
■障害者の転職は、第三者の存在が解決策のカギ
こんな悲しい状況を無くしていくためには、私自身の経験上やはり第三者の存在が必要だと感じています。
障害といっても多様で、仕事によって向き不向きがあります。
それは障害種別だけではなく、その人一人一人に置き換えても同じことが言えます。
同じうつ病の人でも、個人差があるのは当然です。
現場との十分な話し合いが持たれないまま、障害者を雇用し、現場に配置されるケースもあります。
その結果、相互理解が進まず、サポートする現場担当者や障害者の離職につながることもあるそうです。
■企業側の課題とそれに取り組む姿勢
とはいえ、雇う側の会社にもある程度の配慮がないと、なかなか難しい問題もあるかと思います。
私の働いている会社では、
・障害者社員一人一人の作業量やスピードなど、そこには一般社員の偏見が一切ないように皆が正当に評価する。
・仕事のタスク以外では一般社員と障害者社員の区別を一切無くす。
この3つを掲げ自社でマニュアルを作成するようになりました。
そして最近、また新たな障害者雇用を増やしたいと雇用に積極的になっているようです。
心が弱っている私は、イキイキとこの提案を掲げている上司や同僚の皆さんの姿を見て、涙が溢れて止まらなかったのを覚えています。
■企業側の本音も知っておく
これは、私のお世話になっているコーディネーターさんに伺ったのですが、障害者求人を出す企業も、三つに分類できると言います。
企業は、障害者雇用に何を求めているのか、違いがあるそうです。
(2)戦力として雇用したい企業
(3)障害者をどう雇用したらいいかよく理解していない企業
例えば、仕事の内容として「データ入力」とだけ記載する求人を出す場合もありますが、これだと事実上、身体障害者しか手を挙げにくいのだそうです。
そんな求人を出している企業にもっと詳しく話を聞いてみると、
・あいさつや返事ができること、
・働いてお金を稼ごうという気持ちを持つこと、
この3つがあれば問題ありません。
と答えるそうです。
であれば、もっと明確にそのように記載しても良いのではないかと思いますが、ハローワークなどの求人票の規約などもあり、一般的に求人内容を文字で確認できる範囲の求人ではなかなか文字に起こすのはリスクも伴う可能性もあり、書きたがらない企業が多いのが現状だそうで、それがまた応募者側と採用側の溝を深くしているのではないかと思います。
そうはいってもやはり、直接本人と話し合わなければいけないケースもあります。
例えば、『元気だから、自転車で1時間かけて通勤できます』と言われても、企業側は通勤時間が長くなるほど通勤途中のリスクが上がると考えます。
こういう想定外の問題も生じてくるわけです。
このような問題を未然にクリアな状態にし、雇われる側と採用する側のお互いに見える化することで、障害者雇用は促進していくのではないでしょうか。
最後に【障害者に特化した障害者専門転職サイトに任せてみよう】
企業側も、あれこれ試案してくださっていることは分かります。
それは本当は、雇おうと考えている未来の障害者社員のためです。
それらを理解したうえで、いざ転職を決意する時が来て、障害者求人に応募しようと考えるなら、転職サイトなどを上手に利用して、助けてもらう部分は恥ずかしがらずに助けてもらい、自分の取って安全な職場環境を用意してもらうことで、私のように長く楽しく働ける障害者の皆さんはが増えるといいなと思います。